【SDGs視点】昆虫食の可能性と課題:未来の持続可能な食料源とは?

昆虫

【SDGs視点】昆虫食の可能性と課題:未来の持続可能な食料源とは?

なぜ今、昆虫食が注目されているのか?

皆さん、「昆虫食」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?「気持ち悪い」「原始的」と思う方も多いかもしれません。しかし、昆虫食は実は約20億人の人々にとって伝統的な食材なのです[1]。
そして今、世界が直面する食糧危機や環境問題の解決策として、大きな注目を集めています。
実は・・・私はSDGsのプロジェクトの一環で昆虫食を沢山試した経験があります。笑

本記事では、そんな私がSDGs(持続可能な開発目標)の視点から、昆虫食の可能性と課題について説明したいと思います。

昆虫食の驚くべき可能性

1. 高栄養価と環境への低負荷

昆虫は驚くほど栄養価が高いことをご存知ですか?
例えば、コオロギは以下の栄養特性を持っています。

  • 牛肉と同等以上のタンパク質含有量
  • 優れた必須アミノ酸バランス
  • 豊富な鉄分や亜鉛などのミネラル[2]

さらに、環境面での利点も注目に値します。

  • 温室効果ガスの排出量:牛の1/100以下
  • 水の使用量:牛の1/1000以下
  • 飼料効率:鶏の2倍以上[3]

これらの特徴は、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」目標15「陸の豊かさも守ろう」に大きく貢献します。

2. 食料安全保障への貢献

国連の予測によると、世界の人口は2050年までに90億人を超えるとされています[4]。この増加する人口を養うために、昆虫食が重要な役割を果たす可能性があります。

昆虫の特徴:

  • 様々な環境で育成可能
  • 短い生産サイクル
  • 高い栄養価

これらの特性により、昆虫は食料不足に悩む地域での持続可能な食料源となり得ます。これは、SDGs目標2「飢餓をゼロに」の達成に大きく寄与します。

3. 新たな経済機会の創出

昆虫食産業の成長は、新たな雇用を生み出し、特に発展途上国の経済発展に貢献する可能性があります。

  • 小規模農家でも取り組みやすい
  • 女性の経済参画を促進
  • 地域経済の活性化[5]

これらの効果は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関連します。

昆虫食が直面する課題

昆虫食には大きな可能性がある一方で、いくつかの重要な課題も存在します。

1. 文化的障壁と消費者の受容

最大の課題は、多くの文化圏で昆虫を食べることへの抵抗感が強いことです。この「気持ち悪さ」をどう克服するかが、昆虫食の普及における鍵となります[6]。
私自身、カブトムシのフリーズドライを食べた時は気絶するかと思いました。

2. 規制と食品安全

昆虫を食品として扱う際の規制や安全基準が、多くの国でまだ整備されていません。

  • アレルギー反応の可能性
  • 飼育環境による安全性の問題
  • 加工過程での衛生管理[7]

3. 大規模生産における課題

昆虫の大規模飼育には、まだ技術的な課題が多くあります:

  • 効率的な飼育方法の確立
  • 疾病管理
  • 加工技術の向上
  • コスト削減[8]

SDGsの視点から見た昆虫食

昆虫食は、実に多くのSDGs目標に関連しています:

  1. 目標2:飢餓をゼロに
  2. 目標3:すべての人に健康と福祉を
  3. 目標8:働きがいも経済成長も
  4. 目標12:つくる責任 つかう責任
  5. 目標13:気候変動に具体的な対策を
  6. 目標15:陸の豊かさも守ろう

昆虫食の推進は、これらの目標達成に向けた統合的なアプローチとなり得るのです[9]。

未来に向けて:私たちにできること

昆虫食の普及には、社会全体の意識改革が必要です。私たち一人一人にできることもあります。

  1. オープンマインドになる:昆虫食を試してみる勇気を持つ
  2. 正しい知識を得る:昆虫食の利点や安全性について学ぶ
  3. 地域の取り組みをサポート:昆虫食に取り組む地元企業や研究を応援する
  4. 持続可能な食生活を考える:昆虫食に限らず、環境負荷の低い食生活を心がける

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昆虫食は、私たちの食文化に革命をもたらす可能性を秘めています。それは同時に、持続可能な未来への一歩でもあるのです。とはいえ、私もまだまだ昆虫食には抵抗感があります。
けれど、蜂の子とタガメサイダーは美味しかったので、興味のある方はチャレンジしてみてください。どこかで感想を聞かせていただけたら嬉しいです✨

参考文献

[1] FAO. (2013). Edible insects: Future prospects for food and feed security.

[2] Rumpold, B. A., & Schlüter, O. K. (2013). Nutritional composition and safety aspects of edible insects. Molecular Nutrition & Food Research, 57(5), 802-823.

[3] van Huis, A., & Oonincx, D. G. (2017). The environmental sustainability of insects as food and feed. A review. Agronomy for Sustainable Development, 37(5), 43.

[4] United Nations. (2019). World Population Prospects 2019.

[5] Halloran, A., Hanboonsong, Y., Roos, N., & Bruun, S. (2017). Life cycle assessment of cricket farming in north-eastern Thailand. Journal of Cleaner Production, 156, 83-94.

[6] Hartmann, C., & Siegrist, M. (2017). Insects as food: Perception and acceptance. Findings from current research. Ernahrungs Umschau, 64(3), 44-50.

[7] EFSA Scientific Committee. (2015). Risk profile related to production and consumption of insects as food and feed. EFSA Journal, 13(10), 4257.

[8] Berggren, Å., Jansson, A., & Low, M. (2019). Approaching ecological sustainability in the emerging insects-as-food industry. Trends in Ecology & Evolution, 34(2), 132-138.

[9] Dicke, M. (2018). Insects as feed and the Sustainable Development Goals. Journal of Insects as Food and Feed, 4(3), 147-156.