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No.1162026.02.10
丹頂 - デジタル抽象化による金魚の再構築
# 丹頂 - デジタル抽象化による金魚の再構築
Artist Statement
この作品は、一枚の丹頂金魚の写真から始まりました。
丹頂は19世紀初頭に日本で生まれた金魚の品種です。真っ白な体に、頭のてっぺんだけに鮮やかな赤を宿すその姿は、縁起の良い鳥として愛されてきた丹頂鶴にちなんで名付けられました。でも、この美しさは偶然ではありません。野生の鮒から始まった金魚の歴史は、人間が何百年もかけて美を追い求め、選別を重ねてきた証そのもの。丹頂もまた、無数の世代を経て、人の手によって生み出された命です。
私はこの丹頂を抽象化しました。画面に残るのは、赤と青が激しくぶつかり合う色彩と、ガラスが砕けるように飛び散る透明な破片。元の姿は失われてしまったけれど、その紅も、その白も、泳いでいた動きの痕跡も、確かにここに刻まれています。
人の手で作られた命を、人の手で作られた技術で再構築する。その行為には、創造する喜びと、介入することへのためらいが同居しています。美しさと倫理、自然と人工——答えの出ない問いを抱えながら、私はこの作品を通して、丹頂という存在の証を残そうとしました。

制作について
技法: デジタルアート(抽象化)
制作年: 2026年
素材: 丹頂金魚の写真をもとにデジタル技術を用いて抽象化
金魚の歴史と品種改良
丹頂金魚は、人間が何世紀にもわたって行ってきた選別育種の結晶です。野生の鮒から始まり、突然変異と人為選択を経て、今日の美しい観賞魚へと進化してきました。
