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No.142026.01.20

0.5%の優しさ。命の「自己治癒力」を助ける塩浴のお話。

もし、大切にしている金魚の元気がなくなってしまったら。 薬を使う前に、まず私たちにできることがあります。それは「塩」の力を借りて、金魚が自分自身の力で回復できる環境を整えてあげること。Juane * です。こんにちは。

今日は、金魚のケアにおいて最も基本的で、かつ理にかなった「塩浴」という知恵についてお話しします。

「治す」のではなく「休ませる」という考え方

塩浴と聞くと、塩で病気を退治するように思う方もいるかもしれませんが、実は少し違います。 金魚の体液には約0.5%の塩分が含まれています。一方で、飼育水は真水。この濃度の差があるために、金魚は常に「体の中に入ってこようとする水」を外へ押し出すために、たくさんのエネルギーを使っています。

元気がないとき、この「水を押し出す作業」は大きな負担になります。 飼育水の塩分濃度を金魚の体液と同じ0.5%に近づけてあげることで、金魚はこの作業に使うエネルギーを、自分自身の体を癒やす「自己治癒力」へと回せるようになるのです。

0.5%という数字が持つ意味

水1リットルに対して、5グラムの塩。 このわずかな、けれど正確な数字が、金魚にとっては深い安らぎに繋がります。 真水の中にいるときよりも、体が浮力で楽になり、呼吸も穏やかになる。

人間でいうところの「静養」や「点滴」に近い状態を、水の中に作ってあげる。余計な刺激を取り除き、命が本来持っている「健やかになろうとする力」を信じて待つ。その静かな時間が、回復への一番の近道になることがよくあります。

命の自立を支えるまなざし

病気と向き合うとき、私たちはつい「何とかして治さなければ」と焦ってしまいがちです。けれど、本当に大切なのは、金魚が自分の力で立ち上がれるように、そっと環境を整えてあげることではないでしょうか。

自らの力でバランスを取り戻そうとする命の強さを、ただ隣で見守る。 その寄り添い方は、人間同士の信頼関係や、困難を乗り越えようとする時の心のあり方にも、どこか重なる部分があるように思います。

健やかなリズムを取り戻すために

塩浴は、金魚に「頑張らなくていい時間」を贈る、最もシンプルなケアの一つ。 鱗にツヤが戻り、再び自分の力で力強く泳ぎ出すその瞬間まで、私たちはただ、最良の環境を整え、彼らの生命力を信じていたい。

私たちJun * Juaneも、作品を通して、そんな命の持つ健気な強さと、それを支える優しい眼差しを、これからも大切に描いていきたいと思っています。

【参考資料】

浸透圧調整:魚類が体内と体外の水分・塩分バランスを一定に保つ仕組み。金魚などの淡水魚は、浸透圧によって体内に入ってくる水を排出するために常にエネルギーを消費しており、塩浴はこの負担を軽減することが生理学的に証明されています。

自己治癒力の最大化:塩浴そのものに直接的な殺菌作用(高濃度でない限り)を期待するのではなく、個体の代謝負担を減らすことで、本来の免疫機能や自然治癒能力を発揮させやすくする補助的な療法として推奨されています。