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No.632026.01.22
令和水景図:第六景「陸(おか)の握手会・剥がしの美学」

江戸時代も今も好きなものに夢中になる気持ちは変わらないと思います。
本気になれるものがあるって素敵ですね。
【解説】
作品名:
令和水景図:第六景「陸(おか)の握手会・剥がしの美学」
主演:
桃色フリルの歌姫金魚と、感極まって涙を流すファンたち
特記:
握れる鰭は五秒まで。黒出目金の「剥がし」は急流の如し。
お立会い、これぞ現代の「推し活」における最も熱き聖域、都会のど真ん中で繰り広げられる握手会の図にございます。舞台の上に鎮座するは、桃色のリボンと白のフリルを幾重にも纏い、お洒落な靴まで履きこなした当代随一のアイドル金魚。その鰭に触れるという、わずか数秒の至福のために、金魚たちは水底から這い出し、アスファルトの上で気が遠くなるような長い列を作っております。
中にはあまりの尊さに耐えきれず、感動のあまり涙を流し、その場で崩れ落ちる者までおる始末でございます。ご覧なさい、この熱気。チェックの羽織を粋に着こなし、「推しが尊い」の文字を背負って震える鰭を差し出すファンの目から零れるのは、偽りのない本物の涙。
そこへ背後から迫るは、ヘッドセットを装着した「剥がし」役の黒出目金。迅速かつ冷徹にファンを押し流すその手際は、まさに令和の世の縮図。陸に上がってまで伝えたい想いがある、滑稽にして愛おしき金魚たちの真剣勝負をどうぞお楽しみください。




