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No.212026.01.20

見えない波を感じて。金魚が映し出す、もう一つの世界。

私たちは毎日、ガラス越しに金魚を見つめていますが、金魚の側からも、彼らなりの感覚で私たちの世界を捉えています。そこには、人間の目や耳では決して届かない、微細で豊かな「情報の海」が広がっています。

Juane * です。こんにちは。

今日は、金魚が持つ驚くべき感覚の仕組みと、その「感じ方」に寄り添うことの大切さについてお話しします。

水のゆらぎを聴く「第六感」

金魚の体の側面をよく見ると、頭から尾びれにかけて、点々と続く細い筋があるのに気づきます。これは「側線」と呼ばれる、魚特有の非常に敏感な感覚器官です。彼らはこの側線を使って、水の流れ、圧力の変化、そして遠くのわずかな振動さえも感じ取っています。

私たちが水槽のそばを歩くときの足音や、部屋の扉を閉める振動。それらは金魚にとって、私たちが想像する以上に鮮明な「音」や「揺れ」として伝わっているのです。

人間よりも広い、色彩の視界

金魚の視覚もまた、非常に発達しています。 驚くことに、金魚は人間が見ることのできない「紫外線」までをも識別できると言われています。私たちに見えている景色よりも、さらに多くの階調や色彩の中で、彼らは日々を過ごしているのかもしれません。

また、動くものに対する反応は非常に鋭く、誰がエサを持ってきてくれるのかを、その姿や動きでしっかりと見分けています。ガラス越しに見つめ合うとき、彼らは私たちの表情を、彼らなりの豊かな色彩の世界の中で受け取ってくれているのですね。

相手の世界に、想いを馳せる

自分とは異なる感覚を持っている相手を理解しようとすること。それは、アドラー心理学で言うところの「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じる」という共感の姿勢にも似ています。

「大きな音がしたら、この子たちどう感じるだろう」 「急に明るくなったら、まぶしくないかな」 そうやって彼らの五感を想像することは、単なる管理を超えて、一対一の生命としての敬意を払うこと。その静かな配慮が、彼らにとっての「安心」という名の健康を作ります。

響き合う、二つの世界

金魚が感じる水の震えと、私たちが感じる空気の震え。 異なる世界に住みながらも、私たちは確かに同じ「今」を共有し、お互いの存在を感じ合っています。

私は、作品を創る時、Junさんが感じている感情や一瞬見せる空気感までを表現してみたいと思っています。見えない波に耳を澄ませるように。二人で一人のアーティストは楽ではありません。笑

【参考資料】

側線の機能(機械受容器):側線は、水流や低周波の振動を感知する感覚器官であり、魚類が群れを作ったり、障害物を避けたりする際に重要な役割を果たします。これにより、暗闇や濁った水の中でも周囲の状況を立体的に把握することが可能です。

4色型色覚(テトラクロマシー):多くの淡水魚と同様、金魚は赤・緑・青の3色に加えて、近紫外線を感知する4種類の色素細胞を持っています。これにより、人間よりも遥かに多様な色の識別が可能であると生物学的に証明されています。

ウェーバー器官:金魚を含むコイ科の魚には、鰾(うきぶくろ)と内耳を繋ぐ「ウェーバー器官」と呼ばれる骨があり、これが音の振動を増幅して内耳に伝えます。そのため、金魚は魚類の中でも特に聴覚が優れているグループに属します。