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No.752026.01.28

白らんちゅう — 雪の静寂、王者の風格を纏う「究極の曲線美」。

「金魚の王様」として、多くの愛好家を熱狂させてきたらんちゅう。その中でも、赤を一切持たない「白らんちゅう」の姿は、まるで水底に横たわる真珠、あるいはゆったりと流れる冬の雲のようです。派手な色彩に頼らず、その「かたち」だけで見る者を圧倒する姿には、王者の余裕と、深い精神性が宿っています。

Juane * です。こんにちは。

今日は、引き算の美学が生んだ、写真の金魚「白らんちゅう」の「語らぬ気高さ」についてお話しします。

「背なり」が描く、一筋の祈り

らんちゅうの最も大きな特徴は、背びれがないこと。そして、その背のライン(背なり)が描く滑らかで力強い曲線です。白一色の体は、この曲線を際立たせるための最高のキャンバスになります。光を柔らかく反射し、水流を優しく受け流しながら進む。

その一筋のラインは、迷いのない「自己の確立」を感じさせます。余計な飾りを捨て去り、自分という存在の根源的な美しさだけで勝負する。その潔さは、観る者の心に静かな勇気を灯してくれます。

「素白」という名の、ありのままの光

愛好家の世界では、赤のない白い個体は「素白」と呼ばれます。かつては赤(ハレの象徴)が尊ばれましたが、現代において白らんちゅうが愛されるのは、そこに「純粋さ」と「自己受容」のメッセージを見出すからかもしれません。白らんちゅうが、赤を纏わずとも堂々と王者の風格を漂わせているように、私たちもまた、自分の「素」の色を愛し、誇りを持って生きることができるはずです。

冠(肉瘤)に宿る、静かなる叡智

頭部で発達する豊かな肉瘤(にくしゅう)は、らんちゅうの威厳の証です。白一色だからこそ、その細やかな陰影は彫刻のような深みを持ち、積み重ねてきた経験や知恵を象徴する「冠」のように見えます。派手に自己主張するのではなく、ただそこに存在するだけで周囲の空気を浄化し、穏やかに整えていく。白らんちゅうがゆったりと、少し不器用そうに体を揺らして泳ぐ姿は、焦らず、自分のペースで目標に向かうことの尊さを教えてくれているようです。

白らんちゅうを眺めていると、心の濁りがすっと消え、まっさらな気持ちに戻れるような気がします。色のない世界に、無限の広がりを感じること。私たちは、この「飾らないことの強さ」を、これからも大切に言葉に紡いでいきたい。真っ白な心で、凛として。白らんちゅうという名の「静寂の王道」を、これからも敬意を持って見守り続けていきたいと思います。

【参考資料】

品種の成立 : らんちゅうは江戸時代、中国から伝わった「卵虫(ランチュウ)」を日本で独自に改良した品種です。白一色の「素白(すじろ)」は、選別過程で必ず現れる形質ですが、その形の美しさが際立つ個体は、色彩豊かな個体以上に造形的な完成度を問われる、玄人好みの存在です。

造形的特徴 : らんちゅうの鑑賞は「上見(うわみ)」が基本ですが、特に白らんちゅうは「背の丸み」「尾筒の太さ」「肉瘤の発達」といった、色彩に惑わされない「骨格の美」がダイレクトに評価されます。

光の反射(パール感): 白らんちゅうの鱗は、光の種類によって真珠のような光沢を放ちます。これは普通鱗であっても、白という背景があることで光の干渉が目立ちやすくなるためです。この「白の中の輝き」が、精神性の高い美しさを演出しています。